コロナ対策!会計ルール弾力運用での減損処理見送り?

皆様もお感じのとおり、コロナによる外出自粛の要請は、当面続く見通しかと思います。
当然、飲食店などの店舗は赤字の状態が続く可能性が高くなりますし、製造業では部品供給ストップに加えて販売低迷という需要減が追い打ちを掛け、生産停滞が長引くでしょう。
このように、回復が早期に見込めない場合には、店舗や工場の資産価値は毀損され下がります。
日本の会計基準では資産価値が取得時より大きく下がれば、減損処理をしなければなりません。
昨日4日の河北新報では、「ベガルタ仙台は19年度決算で赤字4億2700万円、コロナで固定資産の減損処理を前倒し」との報道がありました。
通常は固定資産を持つことにより、その減価償却分だけ一定期間、利益を圧縮してしまいます。
しかし、減損処理を行った場合は、固定資産の支払額を大きく減額できるので、翌年度以降の利益は相対的に増加します。
一方、減損処理を行うと、売上高減少に伴う利益の減少に、更に減損処理の損失が加わるため、企業業績は悪化する結果となってしまい、結果次第では債務超過ということにもなりかねません。
そこでなのか、2日付の日経新聞(電子版)には「店舗・工場の減損見送り、金融庁など、会計ルール弾力化、コロナ対策で協議会」とのスクープ報道がありました。
減損処理に対する会計ルールの適用を弾力化し、コロナの影響で苦しい企業は厳しい決算に追い込まれることを回避できる可能性があります。
麻生金融担当相も3日、閣議後会見で「減損処理を弾力的に行うことを容認する」発言をされたとの報道もありました。
このように、一見して2日の日経新聞(電子版)のスクープ記事の前段は、コロナ対策で良い施策にも見えますが、しかし記事には後段があって…、
「金融庁は新型コロナウイルスの感染拡大による株安を受け、企業が政策保有株(持ち合い株)の減損処理を見送ることを一部容認する。取得価格から50%程度までの下落の場合、企業と監査法人が新型コロナが影響した一時的な下落だと判断すれば、処理しなくてもよくなる。企業の柔軟な判断を認め、上場企業による発表が本格化する決算への影響を和らげる。」
これはまさに、「政府容認の日本企業の粉飾決算?」と言われ、大炎上しました。
企業と監査法人の判断で…とは、まったく決算が信じられないものとなるわけですね。
それもあってか、金融庁の関係者は3日、保有株の減損処理見送り容認など、会見基準を緩める検討をした事実はないとコメントしています。
相次ぐコロナの影響で、経済の混乱もここまできたか…といった思いです。
企業顧問の行政書士ともなれば、相次いで追加されているコロナ対策補助金などを理解しつつも、税理士ほどでないにしても、金融面でのコロナ対策の施策を理解する必要が出てきましたね…。

2020年04月06日