喫煙可能室設置施設届出は行政書士が業務にできる!?

行政書士には商工会議所との繋がりで、小規模の飲食店の経営者の方とお付き合いがあるか先生方も多いと聞いています。
そうした先生方は、来月からの改正健康増進法(健康増進法の一部を改正する法律)全面施行に向け、喫煙室設置のための助成金や税制措置の相談業務をされていると思います。
一方で、商工会議所の会員には、直ちに喫煙室の設置にまで至らない小規模な飲食店の経営者も多数でしょうから、その場合には、既存特定飲食提供施設の「喫煙可能室設置施設届出書」についてアドバイスされると思います。
ネットで見ますと、この届出を業務にされている行政書士もかなりおられるようですね。
今からでも、業務にできるでしょうか?

既存特定飲食提供施設の要件とは…、
1.2020年4月1日時点で営業している
2.資本金または出資の総額が5,000万円以下である(中小企業基本法による定義)
3.客席面積が100m2以下である
上記要件を「全て満たす飲食店」は、改正健康増進法の経過措置として、店内の全部または一部を喫煙可能とする「喫煙可能室」を設置することができ、その場合は仙台市へ喫煙可能室設置施設届が必要です。

ところで、改正健康増進法では20歳未満の人は、屋内・屋外を含め全ての喫煙エリアへの立入が禁止となります。
したがって、喫煙可能室設置施設届出を行い喫煙可能店となった店では、標識の掲示などの対策を行ったほか、自主的に一時的な禁煙時間(ランチタイム禁煙等)を設けたとしても、当該区域に20歳未満の人をお客さんとして入れることができません。(煙草が吸える小さなラーメン屋に高校生は入れない?)
また、20歳未満の人を雇用している場合、たとえ掃除仕事などであっても、その従業員を喫煙エリアに立ち入らせることができません。
もし、喫煙可能室設置施設届出を業務化される場合は、そうしたデメリットも含め、アドバイスする必要があるかもしれませんね。
当事務所としては、やはり将来を考えると、今は経過措置だとしても、いずれは店舗全体を禁煙とするか、喫煙専用室を設けるアドバイスがいいのかなと思います。

さて、細かく読み取ることが大変な技術的基準ですが、喫煙専用室等には、部屋から煙が流出しない措置が必要です。
喫煙専用室等の入口に扉があっても、人の出入りの際には開放されます。
扉を開放した状態で禁煙ゾーンから喫煙専用室等方向へ毎秒0.2m以上の風が流れる必要があり、更に原則として排気は屋外へ排気する換気扇が必要です。
屋外へ排気する為の最低風量は「開口面積」×「0.2」m3/秒です。
仮に開口部(出入口)の高さが2mで幅が1mの場合で、換気扇等の風量を示す際に一般的に用いる時間単位で計算するならば、開口部の境界風速0.2m/s以上を満たす排気風量は…、
2×1×0.2×3,600=1,440m3/h以上の能力がある換気扇等を、喫煙専用室等には設置する必要があるということですね。
なお、分煙効果判定基準策定検討会報告書では、喫煙専用室内の時間平均浮遊粉じん濃度0.15mg/㎥以下とすることが示されています。
空気環境を良好に保つため望ましい排気能力は、1時間内に発生する粉じんの量(想定たばこ本数)にもよりますが、更に大きくなります。
経過措置の届出の業務に加えて、喫煙専用室等の設置についてもアドバイスできるよう、業務化できるといいですね。

2020年03月09日