営業所と専任技術者、令3条使用人

建設業の営業所の確認

建設業の「営業所」とは、本店又は支店若しくは「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」です。したがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行なう等、建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、営業所に該当します。営業所の確認方法についてはローカルルールもあり、確認資料は多様のようです。
(以下、宮城県知事許可の申請の例示より)
・所定の「写真台紙」に営業所名、使用権原(自己所有・賃貸借の別)、撮影年月日を明記する。
・写真は、外観全景(看板等を確認できるもの、※入居者案内板等がある場合には、それらの写真も添付)、入口付近(表札等を確認できるもの)、内部前景(電話,机等の什器備品を確認できるもの)、建設業の許可票(標識の記載内容が判読可能なもの、※新規許可申請の場合は不要)
※特に写真は営業所内が全体的に分かるよう様々な方向から撮影します。
※接客スペースやOA機器が映るよう撮影しましょう。
自宅ならば廊下や階段を除き、プライベートなスペースを通過しなければ営業所に行けない間取りでは許可されない可能性がありますので、玄関を入ってすぐの部屋を営業所とするのが得策でしょう。
旧建設省は営業所の定義を、以下(昭和48年3月18日建設省計建発第46号)の通り通達しています。

※「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行なう事務所をいい、契約書の名義人が当該営業所を代表する者であるか否かを問わない。

営業所に置かなければならない専任技術者の資格

専任技術者は「営業所ごとに専任」であり、その営業所に常勤していることが必要です。専任技術者の配置は、許可要件の一つであるため、許可を取得した後に専任技術者が不在となった場合は、許可の取消しの対象等になることに注意しましょう。
特定建設業のうち、指定建設業7業種の建設業許可を受けるためには、営業所ごとに配置する専任技術者及び工事現場ごとに配置する監理技術者に別途定められた要件があります。

令3条の使用人

建設業許可業者が「主たる営業所」以外に営業所を設置する場合(従たる営業所)、国土交通大臣許可・都道府県知事許可を問わず、その「従たる営業所」には令3条使用人(と専任技術者)を配置しなければなりません。
従たる営業所が主たる営業所とは違う都道府県にある場合、知事許可ではなく大臣許可となります。
令3条の使用人とは、「建設業法施行令第3条に規定する使用人」のことです。
建設工事の請負契約の締結及びその履行に当たって、一定の権限を有すると判断される者で、支店及び支店に準ずる営業所の代表者、すなわち「支店長」や「営業所長」を指します。
個人事業でも、支配人登記された支配人が該当します。
建設業法上の建設許可業者(許可を受けて建設業を営む者)でない建設業者の支店長、営業所長等は該当しません。
なお、役職名を問わず、令3条の使用人としての届出がされていれば該当します。
ただし、令3条の使用人は、当該営業所において常勤の者であることが必要です。
大臣許可を受けた大手の建設業者や知事許可でも複数の営業所を持ち手広く経営されてる会社は、おおむね「令3条使用人」はいらっしゃると思います。
令3条使用人は以下の要件となります。
・一つの営業所に常勤していること
・建設工事の請負契約の締結やその履行についての権限を代表者から委任されていること
・欠格事由(要件)に該当しないこと

「常勤」の条件

常勤とは「事業所において、通常の営業日の所定の勤務時間中、職務に従事している」ことです。
つまり、他に職業や勤務先を持たず、専属で当該業務に従事している状態です。
次のようなケースは「常勤」とは認められません。
・他社の代表取締役との兼務(他社が代表取締役2名以上で、当該他社で非常勤代表取締役ならば可)
・他社の常勤取締役との兼務(他社で非常勤取締役であっても、当該他社が取締役1名ならば不可)
・解散登記をした会社の清算人に就任している場合(清算結了の登記が完了するまで不可)
・建築士事務所の管理建築士、宅建業の専任取引士等、他の法令によって専任性を要する役職と兼務している場合(同一営業体で、かつ同一営業所である場合に限り兼任可能)
・個人事業主との兼務
・衆議院議員、参議院議員、都道府県・市区町村議会の議員


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