産業廃棄物収集運搬に適切な施設
- 産業廃棄物の収集運搬車輌について
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自動車は、乗用・乗合・貨物・特殊の4つの用途に区分されています。産業廃棄物の収集運搬車両は、「特殊な目的に専ら使用するための自動車」に区分される、特種用途自動車(8ナンバー車)か、貨物自動車(1または4ナンバー車)に分類されます。乗用車(5または3ナンバー)」でも申請ができる場合もあるようですが、運搬できる品目が限定されると思われますので、お薦めしません。
産業廃棄物収集運搬業の許可のほか、「貨物自動車運送業の許可」を得ている事業者もあります。そのため、走行している産業廃棄物収集運搬車のナンバーは、白ナンバーと緑ナンバー(営業ナンバー)が混在します。産業廃棄物収集運搬業に緑ナンバーは不要という明確な法的根拠はみつかりません。現状の解釈として、産業廃棄物収集運搬業は、「処分業に附帯する行為」と判断されているため、白ナンバーでも構わないということかと思われます。-
自動車NOx・PM法(自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法)
ディーゼル自動車から排出される窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)を抑制することを目的に、関東・関西地方の大都市圏を対象に運用されている。軽油を燃料とする、用途が「貨物」「乗合」「特種」自動車のうち、該当する自動車においては、規制対象地域内の走行が禁止されている。東北地域では未指定。 -
土砂禁ダンプ(深ダンプ)
土砂禁ダンプとは、「土砂等運搬禁止車両」の通称で、「土砂を積んではいけないダンプ」。ペットボトルなど軽量でもかさばるものは、普通のダンプでは少ない量しか運べないため、荷台のあおりを高くしたダンプ=土砂禁ダンプ(深ダンプ)が誕生した。土砂を積んではすぐに過積載になるので、車検証の備考欄に「積載物は土砂等以外のものとする」の表記がある。この車両では土砂はもちろん、以下の産業廃棄物の品目は許可を取得することはできない。(もちろん、土砂禁ダンプは、最大積載荷重を超えない範囲であっても、土砂を運搬できない。)
・②汚泥
・⑨ガラス・コンクリート・陶磁器くず
・⑩鉱さい
・⑪がれき類
また、パッカー車での「⑪がれき類、石綿含有産業廃棄物」の運搬は、禁止されている。 -
アームロール車
いわゆる、脱着装置付コンテナ専用車がアームロール車。このアームロールのコンテナは、車両の一部として考えるのか、運搬容器として考えるのかで、申請書の記載方法が変わってくる。
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- 収集運搬に適した容器
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産業廃棄物の収集運搬は、飛散・流出及び悪臭が発散するおそれのない方法で行う必要があります。
一般的な車両では飛散・流出及び悪臭が発散するおそれのある産業廃棄物については、以下の例のような収集運搬に適した容器が必要です。産業廃棄物の品目別の収集運搬方法(例示)
車輌の例 容器の例 ②汚泥、⑯動植物性残さ、⑲動物の死体 水密仕様ダンプ、密閉コンテナ車 ドラム缶(オープンドラム) ③廃油 タンク車 ドラム缶(クローズドドラム) ④廃酸、⑤廃アルカリ タンク車(耐腐食性) ケミカルドラム(クローズドドラム)=内装が耐薬品、プラスチック容器 ⑩鉱さい、⑫ばいじん(燃え殻) 水密仕様ダンプ、密閉コンテナ車 ドラム缶(オープンドラム)、フレコンバッグ ⑱動物のふん尿 タンク車 ドラム缶(オープンドラム) ②汚泥(脱水後のものに限る)その他の産業廃棄物 ダンプ、コンテナ車等に直積みしてシート掛け フレコンバッグ 石綿含有の産業廃棄物 車両の荷台に仕切りを設け、他の廃棄物と区別してシー トがけ。破砕、変形しないよう整然と積み重ねる。 フレコンバッグ(強度の高いポリプロピレン製など) 水銀含有の産業廃棄物(廃蛍光ランプなど) 車両の荷台に載せる。破損したものはペール缶など密閉容器に入れて運搬する。 プラスチック製容器 -
石綿(アスベスト)
石綿は耐火被覆、保温材などに使用された天然鉱石ですが、人体への重大な有害性から、平成18年より全面禁止となりました。
「他の産業廃棄物と厳格に区別する」点が収集運搬のポイントです。
レベル1(飛散性アスベスト):石綿含有吹付け材 …特別管理産業廃棄物
レベル2(飛散性アスベスト):吹付け以外の石綿含有保温材等 …特別管理産業廃棄物
レベル3(非飛散性アスベスト):その他の石綿含有成形板 …産業廃棄物
(産業廃棄物の品目:⑥廃プラスチック類、⑪がれき類、ガラスくず、⑨コンクリートくず及び陶磁器くず)
具体的には、専用の容器として強度の高いポリプロピレン製フレコンバッグを採用し、変形又は破断しないよう原型のまま手作業で整然と運搬車両に積み込み、他の廃棄物と混合しないよう区分して運搬します。なお、シート掛等により、雨ざらしにしないよう注意します。詳細は、石綿含有廃棄物等処理マニュアル(環境省)によります。 -
廃水銀等(廃水銀及び廃水銀化合物)
普通の産業廃棄物として分類されますが、破損して環境汚染が生じないよう、水銀廃棄物の適正処理の対応が必要です。
水銀使用製品産業廃棄物:水銀を用いた体温計や血圧計、水銀が使用されている蛍光灯のランプなど …産業廃棄物
水銀含有ばいじん等:水銀含有等産業廃棄物:水銀又は水銀化合物中をその重量の15mg/kgを超えて含有するもの
蛍光ランプや水銀体温計などを破損させた場合、大気中に出てきた金属水銀は徐々に気化して水銀蒸気となり、これを吸入すると重大な健康被害を引き起こす可能性がありますので、くれぐれも破損させないよう慎重な取り扱いが必要です。なお、「破損した廃蛍光ランプも水銀使用製品産業廃棄物として取り扱わなければならない」ことになっていますので、破損して水銀が大気放出された後であっても、普通のガラスくず、金属くず、廃プラスチック類として取り扱うことはできません。
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- 建設廃棄物には要注意
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建設廃棄物も廃棄物処理法に則って適正に処理をする必要がありますが、その中でもいくつかの建設廃棄物については、その取扱いに注意が必要です。
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