総合評定値(P点)の指標

総合評定値(P点)の指標
総合評定値(P点)
経営規模(工事種類別年間平均完成工事高):X1

工事種類別の完成工事高を一定の式で点数化する、金額が大きくなるほど点数が高くなる。
完成工事高は、直前の2年平均か3年平均か、有利な方を選ぶことができる。(激変緩和措置。)ただし、2年平均か3年平均かという選択は、すべての業種に対して同じである必要がある。

経営規模(X21:自己資本/X22:平均利益額EBITDA):X2

自己資本額は財務諸表上の「純資産合計」で評価される。
直前の単年度の基準決算か2期平均のどちらか有利な方を選ぶことができる。(激変緩和措置)
例えば、前期の利益が高く、今期の利益が下がった場合などは、2年平均を選択することもある。
資本金だけでなく、これまでの利益の積み増しも評価される。(長期的に見れば、黒字が続けば自己資本(純資産)に利益が貯まる。)

【項番17】シュミレーション…単年度か2期平均か?
 ・前回の経審の自己資本額   40,480千円
 ・基準決算日の自己資本額   56,260千円
  基準決算:56,260 > 2期平均:48,370 =(56,260+40,480)/2

利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益(EBITDA)は、2期平均である。(支払利息、税金、有形固定資産の減価償却費、無形固定資産の償却費を差し引く前の利益=営業利益に減価償却費を足した金額。)負債総額が月商の何か月分に相当するかを見る比率で、低い程良い。
(流動負債 + 固定負債)÷(売上高 ÷ 12)

経営状況(財務分析):Y

企業の財務状況を一定の基準により点数化し評価したものであり、経営状況分析機関に計算してもらう部分。
分析機関より算出された経営状況点数を基に、Y点という形で点数が算出される。
このY点に0.2をかけたものが、総合評定値(P点)となり、その幅は、0点から1,595点までであり、P点に換算すると0点から319点までの幅になる。
経営状況の数値に対して319点もの点数が割り振られている以上、決算を事前に予測し、Y点対策を決算確定前に行うことは重要。

技術力(Z1:業種類別技術職員数/Z2:工事種類別年間平均元請完成工事高):Z

その工事の種類に対応した技術職員の人数とともに、どんな資格を持っているかで点数が上がる。
基本的には、建設業許可の専任技術者になれるレベルが加点の対象であり、誰でも加点されるものではない。
なお、経審の加点対象になるのは一人につき2業種までであり、資格をいくつか持っている技能者の場合は、入札を狙う2業種を優先的に選ぶなど工夫が必要になる。(専任技術者の場合、例えば2級建築施工管理技士の「仕上げ」を持っていれば、一人で12業種の担当ができるが、経審では一人につき2業種まで。)
そのほか、登録基幹技能者や監理技術者の講習を受けている場合も点数が上がる。元請完工高は完成工事の金額だけを見て、技術力の点数が計算される。
ただし、2年平均か3年平均の選択は、X1の工事種類別完成工事高で選んだ期間と同じくなる。

(令和2年4月1日施行 経営事項審査の基準の一部見直し)
令和2年4月より本運用されている建設キャリアアップシステムのレベル判定を活用して、建設キャリアアップ制度でのレベル4、レベル3の建設技能者など、優れた技能を有する建設技能者を雇用する事業者を評価する。
・建設技能者の能力評価基準によりレベル4と判定された者について、「登録基幹技能者」同等のレベルとして評価
・建設技能者の能力評価基準によりレベル3と判定された者について、「技能士1級」同等のレベルとして評価

その他の審査項目(社会性等):W

経審の点数アップの早道は、W点である。
特に、加入が義務付けられている保険への加入は絶対となる。
減点の部分:
・社会保険の加入状況(雇用保険・健康保険・厚生年金)や退職金の有無など、労働福祉の状況は、加入していないものがあると、一つにつき40点ずつマイナスされる。
なお、土建国保の加入や、役員のみで雇用保険に入っていない場合など、「適用除外」は減点されない。
・営業停止処分を受けた場合、その期間を除いて営業年数が計算され、直前期に営業停止処分や指示処分があると、法令順守で減点される。
加点の部分:
・労働福祉で、建退共や中退共の加入、労災の上乗せ保険の加入などは、加点要素となる。
・防災協定を結んでいる(宮城県は20点加点評価)、バックホウとか特定の機械を保有している(宮城県では、少ない台数でも建設機械を保有する企業を高く評価する)等により、「災害時に貢献できる」ことで加点要素となる。
・経理の適正も審査項目であり、例えば、二級以上の建設業計理士がいれば加点要素となる。
・研究開発費に5,000万円以上かけていると加点要素となるが、会計監査人が条件となっている。
・技術職員の中に若い技術者(35歳未満)が15%以上いるか、この1年で新しく技術者になった若い技術者が1%以上いるか等は加点要素である。

近年の傾向としては…、
・社会保険未加入の場合の減点が高くなっています。
・建設機械の評価が変わってきました。(認められる建設機械が増えている。)
・防災協定など災害対応に貢献する企業の評価が高くなっています。
これからは、女性の活躍、仕事と家庭の両立など、社会世相を反映した評価幅が増えると想像されます。

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