産業廃棄物の種類と具体例

産業廃棄物の種類と業種指定7品目

産業廃棄物の業種指定7品目とは、⑬~⑲:紙くず・木くず・繊維くず・動植物性残さ・動物系固形不要物・動物のふん尿・動物の死体 です。
たとえば、特定の業種である製紙工場から排出される紙くずや食料品製造業から排出される動植物性残さは産業廃棄物になるが、商店や病院等から排出される紙くずやレストラン等から排出される残飯類は一般廃棄物に分別されます。
対して「業種を限定せず」は、どんな業種でも、すべて産業廃棄物となります。規模の大小にかかわらず、会社やお店などの事業活動に伴って生じる廃棄物は産業廃棄物となります。なお、指定業種に該当すれば、排出する全てが産業廃棄物となるものではありませんので、曖昧な場合は各地方自治体の解釈を仰ぐこともあります。

産業廃棄物の種類
建設業者が取得すべき産廃許可の品目

建設業者は産業廃棄物を、建設廃棄物=「建廃(ケンパイ)」などと呼んだりします。
建廃に当たる産業廃棄物の品目のイメージは、「⑥廃プラスチック類、⑧金属くず、⑨ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、⑪がれき類、⑬紙くず、⑭木くず、⑮繊維くず」の計7品目だろうと思いますが、建設現場ではそれだけ十分でしょうか?
例えば、「⑦ゴムくず」に関してはどうでしょうか。
ゴムくずというと、廃タイヤやパッキン類を浮かべる人が多いようですが、合成ゴムは産業廃棄物の中のゴムくずには入りません。
ゴムくずとは天然ゴムのことで、天然ゴムに当たる産業廃棄物はかなり排出量が少ないようです。
ゴムくずを産廃として排出する可能性のある建設業の業種は絞られてくると思われます。
次に、「②汚泥」です。土木工事を行うと、産業廃棄物としての汚泥は、ほぼ必ず排出されます。
掘削汚泥やカッター汚泥など、建設汚泥運搬のために、許可を取得する必要があります。(カッター汚泥場合は、他に「⑤廃アルカリ」の品目が必要になる自治体もあります。下記項目参照。)
このように、産廃業許可申請では、排出する可能性の認められる産業廃棄物の品目をできるだけ広くカバーするようにする必要があります。
なお、産業廃棄物の全品目の取得は、余程の環境にない限り、あまり現実的ではありません。

カッター汚泥(アスファルト舗装の切断で発生する汚濁水)も産業廃棄物か

アスファルト舗装道路を湿式のカッター(ブレード)で切断する場合、粉じん飛散の防止と、カッターの焼付け防止のために、水をかけながら作業を行ないます。
この時、カッターにかけた水は、アスファルト粉や骨材粉が混じった汚濁水になり、一般的には「カッター汚泥」と呼んでいます。
このカッター汚泥には、発がん性物質が多量に含まれていますので、適正に処理されずに側溝等に流した場合、それが河川に流れ込んだり、乾燥して粉じんとして大気中に飛散した場合、生態系や生活環境への影響が懸念されます。
アスファルト舗装の切断時に発生する排水は、産業廃棄物として適正に処理することという通知が、環境省と国土交通省より出ており、カッター汚泥は、地面に浸み込む前にバキュウームポンプで吸引して容器などに回収します。
カッター汚泥の性状は、「油分(鉱物油:アスファルト固型油)を含んだpH9~10の汚泥」ですので、産業廃棄物として委託処理する場合は、「⑤廃アルカリ」と「②汚泥」の混合物とも考えられます。
しかし、通知では産廃の品目については言及しておらず、自治体によって運用が異なり、「②汚泥」として扱うところと、「②汚泥と⑤廃アルカリの混合物」として扱うところがあるので注意が必要です。
なお、仙台市においては建設廃棄物の汚泥として取り扱うこととしています。

「水銀使用製品産業廃棄物」「水銀含有ばいじん等」

平成25年10月の「水銀に関する水俣条約」の採択を受けた、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成29年環境省令第10号)により、産業廃棄物として「水銀使用製品産業廃棄物」及び「水銀含有ばいじん等」(以下、これらを総称して「水銀廃棄物」といいます。)について新たな取扱いが必要となりました。

水銀は常温で揮発するため、例えば、収集運搬の過程で蛍光管を破砕すると、大気中に水銀を排出してしまいます。
水銀産廃の収集又は運搬を行う場合、通常の産業廃棄物の収集運搬基準に加え、追加的に、「破砕することのないような方法、かつ、他の物と混合するおそれのないように他の物と区別すること」が求められます。
追加的基準として、運搬途中で破砕されないよう、品目ごとに形状・大きさ・材質に適した容器に入れるなど、他の廃棄物と混合しないように区分した、個別の措置が求められます 。
なお、石綿が含有された「石綿含有産業廃棄物」の収集運搬の扱いについても同様です。
・水銀使用製品産業廃棄物(該当する産業廃棄物:②汚泥、④廃酸、⑤廃アルカリ、⑥廃プラスチック類、⑧金属くず、⑨ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず)
・水銀含有ばいじん等(該当する産業廃棄物:①燃え殻、②汚泥、④廃酸、⑤廃アルカリ、⑩鉱さい、⑫ばいじん)
・石綿含有産業廃棄物(該当する産業廃棄物:⑥廃プラスチック類、⑨ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、⑪がれき類)

「自動車等破砕物」とは

廃棄物処理法では、自動車・バイク・家電などの破砕によって生じたものを、「自動車等破砕物」と呼んでいます。
また、廃棄物から有価物を取り出した残りを破砕した破砕くず、又は、破砕した後に有価物が取り除かれた破砕くずを「シュレッダーダスト」と呼びますが、廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず等の中では自動車等破砕物、廃プリント配線板及び廃容器包装(付着物)、廃プリント配線板及び廃容器包装であるもの、廃ブラウン管、廃石膏ボード及び廃容器包装がこれに定義されます。
シュレッダーダストは、廃棄物の重量に対してかさが大きく、最終処分場の残余年数を圧迫してしまいます。
・自動車等破砕物(該当する産業廃棄物:⑥廃プラスチック類、⑧金属くず、⑨ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず)

廃家電の収集運搬品目は

廃家電の下取りで発生する廃棄物は基本的に、⑥廃プラスチック類、⑧金属くず、⑨ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず、の3品目となります。
廃家電の下取りに伴う廃棄物を収集運搬する場合は、品目を全て押さえた事業計画を立てましょう。


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