建設業の専任技術者(専技)は営業所に常勤し専らその職務に従事

専任と経験(専門性)について

専任技術者(専技)の「専任」とは?
専任技術者(専技)の「専任」とは「営業所に常勤して専らその職務に従事する」ことをいいます。
雇用契約等により事業主体と継続的な関係を有し、休日等の勤務を要しない日を除き、通常の勤務時間中はその営業所に勤務する者でなければなりません。
次のようなケースは専任とは認められません。
・パートやアルバイトの社員(短期雇用又は勤務時間中の一定時間帯のみの勤務は専任ではない)
・常用大工等の下請作業員(常用は日決め単価での一定期間の雇用であり専任にはなりえない)
・住所が勤務する営業所から著しく遠距離にあり、社会通念上、通勤不可能と考えられる場合
・同一業者の他の営業所の専任技術者になっている場合
・建築士事務所の管理建築士、宅建業の専任取引士等、他の法令によって専任性を要する役職と兼務している場合(同一企業で同一営業所の場合を除く)
・他の建設業者の専任技術者又は配置技術者になっている場合
・個人事業主との兼務や他社の常勤取締役である場合
・衆議院議員、参議院議員、都道府県・市区町村議会の議員
なお、同一営業所内において、2業種以上の技術者を兼ねることはできますが、他の事業所または営業所の技術者と兼ねることはできません。
専任技術者の指定学科
指定学科は学校教育法によるもの(いわゆる「職業能力開発大学校」等は含まない。)です。
専任技術者になることができる指定学科に該当するかどうかの判断は、出身校の卒業証明書、履修科目証明書等によって判断されます。

 → 建設業の種類別指定学科一覧へ(国土交通省サイト)
複数業種にかかる実務経験の特例
実務経験だけで一般建設業の営業所専任技術者の要件を満たそうとする場合、その業種に関して「10年以上の経験」が必要ですが、複数の業種に関して実務経験がある場合の特例があります。
例えば建築工事業の経験5年、大工工事業の経験8年の場合、通常では大工工事業の営業所専任技術者の要件を満たしません。
しかし特例「許可を受けようとする専門工事の実務経験が8年以上 + 一式工事の実務経験を4年以上」あれば、専門工事の専任技術者になることができます。(大工工事業の専任技術者となることができます。)
また実務経験は過去のどのタイミングの経験でも構いません。
今回建設業許可を申請する会社の経験である必要はなく、前職や前々職の経験でも問題ありません。
また、1社だけでの経験である必要はなく、複数の会社での経験を通算して10年(もしくは3年や5年)あれば問題ありません。

 → 複数業種に係る実務経験を有する者一覧へ(国土交通省サイト)
専任技術者は現場に出られない?
営業所の専任技術者(専技)は、営業所に常勤して専らその職務に従事することが求められています。
原則、現場の配置技術者(主任技術者、監理技術者)になることができません。
ただし「現場と営業所が近接している」、「公共性のある工作物に関する重要な工事ではない」など以下の要件を全て満たす場合は、営業所における専任の技術者は、当該工事の専任を要しな範囲で現場に出ることができます。
(平成15年4月21日付国総建第18号『営業所における専任の技術者の取扱いについて』)
①当該営業所で請負契約を締結した建設工事で
②当該営業所が職務を適正に遂行できる程度近接した工事現場で、当該営業所と常時連絡が取れる状態であり(工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度であること)
③所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること
※公共性のある工作物に関する重要な工事
 民間で建てる自己居住用の戸建住宅以外の建設工事で3,500万円(建築一式工事の場合7,000万円)以上のものが該当します。
一人親方が建設業許可を受ける場合、自身が経営業務の管理責任者であり、かつ、専任技術者でもあるという形で申請することが多いと思われますので、事前にしっかり確認されることをお勧めします。
特定の業種の経験は?
個別の法律により、資格がないと実務経験として認められない業種があります。
資格がなければ従事できない工事に無資格で従事していた経験は、実務経験としては認められません。
・電気工事業、消防施設工事業
 電気工事士法、消防法等により電気工事士免状及び消防設備士免状等の交付を受けた者でなければ工事に直接従事できないため、免状を取得してからを経験期間に算入します。
・解体工事業
 解体工事業を営もうとする者(元請・下請全て)は、建設リサイクル法(平成13年5月30日)施行後は、軽微な建設工事であっても同法に基づく都道府県知事への登録義務があります。(土木工事業、建築工事業及びとび・土工工事業に係る建設業の許可を受けた者は登録しなくても解体工事が可能。)
そのため、土木工事業、建築工事業、若しくはとび・土工事業許可又は建設リサイクル法に基づく解体工事業登録で請け負ったものに限り、経験期間として算入します。
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