健康保険と厚生年金保険

健康保険は法律により強制適用事業所と任意で加入する任意適用事業所がある

健康保険の適用を受ける事業所を適用事業所といい、法律によって加入が義務づけられている強制適用事業所と、任意で加入する任意適用事業所の2種類があります。
強制適用事業所は、法律により、健康保険・厚生年金保険へ加入します。健康保険は、事業所単位で適用されます。
(1)常時5人以上の従業員を使用する個人事業所
(2)法人の事業所
任意適用事業所は、強制適用事業所以外で厚生労働大臣(日本年金機構)の認可を受け適用となった事業所です。
任意適用事業所は、健康保険のみ・厚生年金保険のみのどちらか一つの制度のみ加入することもできます。

強制適用事業所


適用事業所が従業員を雇用し、健康保険および厚生年金保険に加入するとき、事業主は「被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出する必要があります。
協会けんぽであれば、「健康保険被保険者証 本人」が交付されます。

健康保険の種類

健康保険は、主に以下の種類があります。

  • 健康保険
    サラリーマンや会社員などが対象。
    大企業では健康保険組合が、中小企業では全国健康保険協会(協会けんぽ)が発行する。
    健康保険組合の保険事業は「社保(しゃほ)」と呼ばれ、企業が雇用者のために独立して創立する。
    最近では規模の大きな会社でも組合を組織せず、協会けんぽに所属する会社も増えている。

  • 共済保険
    公務員、教員、私立学校の教員などが対象。

  • 国民健康保険
    健康保険や共済保険などの対象にならない個人事業主、自営業が加入しており、「国保(こくほ)」と分類して呼ぶ。
    国保は主に、市町村に設けられた国民健康保険運営協議会によって運営される市町村国保と、土木・建設業や医師など地域の同業者を組合員とする職域国保の国民健康保険組合(国保組合)に大別される。
    協会けんぽの被保険者とならない5人未満の従業員の個人事業主や1人親方などは、全国土木建築健康保険組合(土健保)、宮城県建設業国民健康保険組合(宮建国保)などの建設国保に加入し、厚生年金に加入する。
    協会けんぽ または 建設国保 + 厚生年金 + 労災・雇用保険
    なお、法人事業主又は常時5人以上を使用する個人事業主に雇い入れられた者が国保組合の被保険者となるときは、健康保険を適用しないという手続き(健康保険適用除外の承認手続き)が必要である。つまり、現在建設国保に加入している個人事業者が、「法人化」または「従業員が常時5人以上」になった場合でも、「健保適用除外」承認を受ければ、そのまま建設国保に加入し、厚生年金の適用を受けることになる。

  • 後期高齢者医療保険国民健康保険
    75歳以上が対象となる医療保険制度。75歳以上になると、国民健康保険からこちらの後期高齢者医療保険制度に移行する。

厚生年金保険とは

厚生年金保険は、会社に勤める従業員などを対象にした年金制度です。
20歳以上60歳未満の全ての人が加入する国民年金(基礎年金)に、上乗せする形で保障されるもので、保険料は会社と従業員の折半によって支払われます。
一定の条件を満たした事業所は強制適用事業所となり、厚生年金保険への加入が義務付けられます。(健康保険とセット。)
(1)常時5人以上の従業員を使用する個人事業所
(2)法人の事業所
強制適用事業所に含まれない事業所でも、半数以上の従業員が加入に同意した場合は、任意適用事業所として厚生年金保険に加入できます。
事業所単位で加入申請するため、同意しなかった人も、以下の条件に当てはまる人については厚生年金保険への加入義務が発生します。
(ア) 常時雇用されている
(イ) 70歳未満である

標準報酬月額とは

健康保険・厚生年金保険は、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額と税引前の賞与総額から千円未満を切り捨てた標準賞与額を設定し、保険料の額や保険給付の額を計算します。
被保険者が事業所から受ける報酬は、昇給などで変動するので、変動後の報酬に対応した標準報酬月額とするため、毎年1回、決まった時期に標準報酬月額の見直しをします。
これを定時決定と呼びます。
具体的には、7月1日現在の被保険者について、4月・5月・6月に受けた報酬の平均額を標準報酬月額等級区分にあてはめて、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額を決定します。
事業主は、毎年7月1日の被保険者について、「被保険者報酬月額算定基礎届」等を日本年金機構へ提出します。
提出先については、全国健康保険協会(協会けんぽ)の事業所は事務センター(年金事務所)へ、健康保険組合の事業所は事務センター(年金事務所)および健康保険組合へそれぞれ提出します。
厚生年金基金に加入している事業所では、厚生年金基金への提出も必要です。
算定基礎届を提出した後、標準報酬月額が決まると、保険者から「被保険者標準報酬決定通知書」が送られてきます。


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