古物は13品目に区分される

古物=13品目を選ぶ基準

古物商許可を取得して営業する場合、13品目から選んで申請しなければなりません。古物は何らかの「物品」である以上、下記のいずれかの区分に当てはまることになります。

①美術品類 美術品商 あらゆる物品について、美術的価値を有しているもの 絵画、書、彫刻、工芸品、登録火縄銃・登録日本刀など
②衣類 衣類商 繊維製品、革製品等で、主として身にまとうもの 着物、洋服、その他の衣料品、敷物類、テーブル掛け、布団、帽子、旗など
③時計・宝飾品 時計・宝飾品商 そのものの外見的な特徴について使用する者の嗜好によって選択され、身につけて使用される飾り物 時計、眼鏡、コンタクトレンズ、宝石類、装飾具類、貴金属類、模造小判、オルゴール、万歩計など
④自動車(それらの部品を含む) 自動車商 自動車及びその物の本来的用法として自動車の一部として使用される物品 自動車本体、その一部分であるタイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラーなど
⑤自動二輪車及び原動機付自転車(それらの部品含む) オートバイ商 自動二輪車及び原動機付自転車並びに、その物の本来的用法として自動二輪車及び原動機付自転車の一部として使用される物品 自動二輪車本体、原動機付自転車本体、その一部分であるタイヤ、サイドミラーなど
⑥自転車類(それらの部品含む) 自転車商 自転車及びその物の本来的用法として自転車の一部として使用される物品 自転車本体、その一部分である空気入れ、かご、カバーなど
⑦写真機類 写真機商 プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、顕微鏡、分光器等 カメラ、レンズ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、光学機器など
⑧事務機器類 事務機器商 主として計算、記録、連絡等の能率を向上させるために使用される機械及び器具 レジスター、タイプライター、パソコン、ワープロ、コピー機、ファックス、シュレッダー、計算機など
⑨機械工具類 機械工具商 電気によって駆動する機械及び器具並びに他の物品の生産、修理等のために使用される機械及び器具のうち、事務機器類に該当しないもの 工作機械、土木機械、医療機器類、家庭電化製品、家庭用ゲーム機、電話機など
⑩道具類 道具商 ①~⑨、⑪~⑬に掲げる物品以外のもの 家具、楽器、運動用具、CD,DVD,ゲームソフト、玩具類、日用雑貨など
⑪皮革・ゴム製品 皮革・ゴム製品商 主として、皮革又はゴムから作られている物品 鞄、バッグ、靴、毛皮類、化学製品(ビニール製、レザー製)
⑫書籍 書籍商   文庫、コミック、雑誌など
⑬金券類 チケット商   商品券、ビール券、乗車券、航空券、各種入場券、各種回数券、郵便切手、収入印紙、オレンジカード、テレホンカード、株主優待券など

 

  • ①美術品商
    美術的価値は、単に上手下手で決まるわけではなく、国や地域、文化の違いで評価が異なる部分があります。
    ・作者に知名度がある
    ・同じものが手に入りにくい「希少性」が高い
    ・高価な素材である
    偽物をつかむリスクを犯さなければ本物は見極められないことはあるでしょうが、常に美術品類に関する感性を磨き、それを裏付ける理屈や情報も分析できる能力が必要でしょう。

  • ②衣類商
    他との差別化も容易で、センス次第で稼げる品目です。
    衣類は単体だけでなく、バッグや小物類まで含めて取り扱うことが多く、関連する品目も同時に取得します。
    ・衣類と、靴やカバンも販売 …⑪皮革、ゴム製品類も同時に取得
    ・衣類と、アンティーク・ビンテージ雑貨を販売 …⑩ 道具類も同時に取得
    衣類は実店舗を持たずに、インターネットの取引でも高額の利益を上げることも可能で、初期投資のリスクも少ないです。
    ※古着のリメイク販売ですが、「古物を買い取って修理等して売る」ことについても、古物商許可が必要としており、リメイクは「修理等に該当」するため、古物商許可が必要になります。しかし、無償で引き取った物を修理やきれいにして売る場合であれば、古物商許可が不要です。

  • ③時計・宝飾品商
    腕時計、掛け時計、置き時計、全て含まれます。
    眼鏡とコンタクトレンズも、身につけるもの、ということでこの品目に含まれます。
    装身具類は、指輪やネックレス、ブレスレット、ペンダント、イヤリング、ピアスなど衣類と合わせて身を飾るためのものです。
    このうち、ダイヤモンドなどの宝石が使用されているものは宝石類、金や白金などが使われているものは貴金属類とも言えます。
    ブランド品の時計や宝飾品と相性がいい、②衣類、⑪皮革・ゴム製品類も一緒に申請し、利益を上げる方法を検討します。

  • ④自動車商
    自動車商は他の古物に比べて取引金額が大きく、犯罪も多発するため、取得のハードルが高くなります。
    基本的には、管理者においては、自動車商の経験が3年以上あると望ましいとされ、経験がない場合は、一般社団法人又は一般財団法人その他の団体が行う講習の受講その他の方法により得ることができるものとなっています。(古物営業法施行規則第14条・管理者に得させる知識等)
    ・盗品などの怪しい中古車を判断できる知識の有無
    ・中古車の売買経験の有無
    ・自動車業界の経歴の有無
    ・中古車の保管スペースの有無(駐車スペースがなくても申請できる営業形態もあります。)
    クレーンやブルドーザーなどの建設機械も扱う予定のある場合は、あわせて、⑨機械工具類の許可も申請します。
    なお、中古車の買い取りとともに廃車を引き取るには、都道府県知事による、自動車リサイクル法に基づく自動車引取業登録の許可が必要です。

  • ⑤オートバイ商
    自動車二輪車および原動機付自転車を扱う古物商です。
    自動車商と同様に、オートバイ商をする場合は、古物商は管理者に不正品であるかどうかを判断する知識や技術、経験を会得させる努力義務があります。
    自動二輪車および原動機付自転車は盗難車が出回りやすく、やはり、オートバイ商の経験が3年以上あると望ましい(古物営業法施行規則第14条・管理者に得させる知識等)ですが、ない場合は一般社団法人や財団法人などが行う講習を受講し経験に代わる知識を身に着けていきます。
    オートバイ商と相性が良いのは、金属くず営業(金属くず商・金属くず行商)です。
    オートバイ商として買い取ったタイヤのホイールなどの金属部品を、本来の生産目的であるホイールとしてではなく、金属の塊として売ることができます。(多くの都道府県では、古物商免許だけで金属くず営業ができる。)

  • ⑥自転車商
    自転車類に含まれるものは、自転車本体と自転車の一部として利用される部品(かご、タイヤ、サドル、自転車の空気入れ)のほか、一輪車や三輪車、乗用玩具です。
    間違いやすいところで、「電動付き」自転車は自転車類、「原動付き」自転車(原付)は自動二輪・原付類です。
    もし、自転車(電動付自転車)、原付、バイク、自動車の全てを扱う古物商がしたい場合は、⑥自転車類、⑤自動二輪・原付類、④自動車の三つの品目を申請する必要があります。

  • ⑦写真機商
    美術品類や時計・宝飾品類など専門的知識が必要とされる品目に対し、メーカーと商品の知識があれば、初心者でも扱いやすい品目です。
    型落ちのカメラなどは、新品と比べ格段に安くなる場合が多く、市場には比較的新しい商品や、きれいな状態のものが出回りやすい特徴があり、そのぶん需要の高い傾向があります
    パソコンやプリンター、シュレッダー、計算機、電話機など、一緒に使う可能性が高い事務機器類も同時に扱うことで、収益を生み出しやすいと言えます。
    商品名や型番を指定して購入できるため、インターネットの取引との相性も良いです。

  • ⑧事務機器商
    ざっくりと、主にオフィスで使用する機器を取り扱う古物商です。
    自分の興味があるジャンルに特化させ、マニアックなビジネスモデルの計画が可能です。
    特性として、セットで取り扱いたい商品が他の品目に分類されており、単品ではなく他の品目と合わせ、扱える商品の幅を広げることができます。(中古カメラを買った方が、プリンターを買うなど。)
    最近よく聞く「リファービッシュ品=初期不良で返品された電化製品を、メーカーで修理・調整して再出荷したもの(わけあり商品)」は、中古品より安心して買えるとされる中古事務機器類です。

  • ⑨機械工具商
    電気によって動く電動機械や工具類など、事務機器に該当しない家電類です。
    テレビや冷蔵庫などの家庭用電化製品をはじめ、土木機械などの工作機械も含まれるため、非常に幅広い知識が必要になります。
    セットで取り扱いたい商品が他の品目に分類されていることが多く、単品ではなく他の品目と合わせての申請がおすすめです。
    ・ゲーム機本体は「機械工具類」、ゲームソフトは「道具類」
    ・建機(重機、パワーショベルやブルトーザーなど)はナンバープレートがあれば「自動車」、ナンバープレートがなければ「機械工具類」
    ・電気によって動く機械や機器は「機械工具類」で、計算・記録・連絡などの効率を上げるための機械や機器は「事務機器類」

  • ⑩道具商
    ざっくりと、家庭用品全般を扱う古物商です。具体的には、家具・楽器・運動用具・CD・ゲームソフト・日用雑貨・おもちゃなど、多くの家庭で日常的に使われているもので、仕入れもしやすい品目と言われています。
    道具類の中で、家具などを商品にする場合は、在庫の管理スペースが必要なので、事業規模にあわせて、リペアなども検討します。
    しょう。
    安く大量に仕入れた家具をスピーディーに売る薄利多売のリサイクルショップなのか、厳選して仕入れた家具を丁寧にリペアしてディスプレイするアンティークショップなのか、必要なスペースや手間、商品の価値が全く違ってきます。
    また、道具類は、単品ではなく他の品目と合わせて申請することをおすすめします。

  • ⑪皮革・ゴム製品商
    具体的には、力バン・バッグ・財布・靴などですが、衣料や時計・宝飾品と一緒に取り扱われることが多い品目です。
    新品では高価なブランド品のバッグでも、リユース品なら購入したいというニーズもあり、リユース品を中心に扱う方もおります。
    こうしたブランドのバックは、古くなるほど一点物のビンテージ品として希少価値も上がるため、皮革・ゴム製品商は高い単価が見込める品目と言えるでしょう。
    一方で(他の品目でも言えることですが)、メルカリなどで不要品の売買をすることが普及することで、わざわざ買い取り査定を希望する人が減り、仕入れが難しい時代へと突入してきています。
    メンテナンスやクリーニングがしっかりできるなどをアピールし、フリマアプリなどと差別化を図っていくことが課題ではないでしょうか。

  • ⑫書籍商
    書籍とは、マンガ、雑誌、小説から専門書までの、すべての古本です。
    一度しか読んでいない新品同様の本から、30年前に発刊された歴史ある本まで、すべてが古本です。
    そのため、他の品目に比べてもより高い専門性が求められます。
    書籍は非常に利益率の高い品目と言われます。
    専門書(古書)などは、販売価格はあってないようなもので、欲しい方には値段が高くても目的の本ならば購入します。
    個人であれば、激安の書籍商を目指すのではなく、安く仕入れた本を高く販売することができる、利益率の高い専門書を扱うことをおすすめします。
    書籍商で大量仕入れを行うのであれば、古物商許可を取得した後に、古書組合に加盟し、古書交換会に参加することを検討します。

  • ⑬チケット商
    古物商の扱う金券類は、おおまかに4つに分類されています。(古物営業施行規則第2条第13項)
    ・商品券
    ・乗車券
    ・郵便切手
    ・古物営業法施行令第一条各号に規定する証票その他の物(航空券、興行場又は美術館、遊園地、動物園、博覧会の会場その他不特定かつ多数の者が入場する施設もしくは場所でこれらに類するものの入場券、収入印紙、金額(JRのオレンジカード、テレホンカード、タクシークーポン券、有料道路回数券など))
    チケットを扱うので、専門的な知識や技術が少なくても開業しやすいのですが、薄利多売なビジネスです。
    品揃えの豊富さが、大事な要素です。綿密なビジネスプランと、ある程度の資金力がいるのは間違いありません。
    なお「チケット不正転売禁止法」など、古物商許可を取得しているからといって、なんでも転売していいというわけではありません。


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