- 負債科目を減らす
- 建設業の場合は未成工事受入金、いわゆる工事前渡金で負債が膨らむ場合があり、自己資本比率は低くなりがちとなる。
未成工事受入金が多いほど、点数が下がる。収益に振り替えることができる前渡金も「負債」科目のため、マイナス評価となる。
点数アップを望むのであれば、資金繰りが苦しくなっても、決算間際での未成工事受入金は可能な限り抑え、決算期を越えてからの入金に変更する。
資金繰りは苦しくないが、「未成工事受入金」が残ってしまう場合は、原資を短期借入金の返済にあてる。
「工事完成基準」から「工事進行基準」への変更は効果的だが、適用要件の確認が必要。(2021年4月1日以降に開始する事業年度から「収益認識基準」の適用対象となる事業者もあります。) - キャッシュフローの改善
- 「工事未払金」「買掛金」「未払金」「未払費用」など未払金が発生する場合は、可能な限り支払いを先延ばしにして手持ちの現金を多くし、キャッシュフローを良くする。
ただし工事未払金を少なくすると、負債回転期間(X2)の改善には効果があるが、営業キャッシュフロー(X7)は悪くなるなど、表裏一体の関係もあるので、シミュレーションにより適切な数値を求める必要がある。 - 完成工事未収入金・受取手形を回収
- 完成工事未収入金(売掛金)は、少ない方が点数が上がる。
一般的には、公共工事の請負代金は、発注機関の検収合格後に全額支払われるのが原則でり、完成工事未収入金の多くなる3月決算法人は、不利となることが多い。Y点アップの観点から、仕掛工事が少なく、売上債権が少ない「5月」「6月」を決算期とする。
また受取手形ではなく、現金で回収し、工事未払金や借入金の支払に充て、負債純資産合計を圧縮する。受取手形を裏書譲渡し、工事未払金等の支払いに充て、負債純資産合計を圧縮する方法もある。 - 科目の見直しを検討
- 貸付金利息があれば、「雑収入」ではなく「受取利息」へ振り替え、その結果、「支払利息」を少なくする。
役員・従業員の退職金は臨時的に発生する費用であるため、「特別損失」へ計上する。
現場災害や、地震、台風、火事、水害等の偶発的事故による損失は「完成工事原価」へ計上するのではなく「特別損失」へ計上する。営業利益も経常利益も上がる。
Y点について、相反する二面性を有する指標もあり、個別に対策を行ったことで評点が単純に上がったり下がったりするものではない。
実際にシミュレーションを行い、点数がどのように変化するのかを検討する必要がある。