古物営業QA集

古物と古物営業についてQA

Q1:古物とは何?
古物の意味は、古物営業法で定義が決まっています。
一度でも使用された物品は古物になります。
未使用であっても、取引されたことがある物品も古物です。(お店から受け取った物品は、実際に使用していない場合であっても、古物となってしまうのです。)
反対に、流通段階における取引(元売り、卸売、小売り)については、物品の使用を目的としていない事を理由として古物とはならないのです。
あくまでも、一般消費者の手にわたった段階で古物となるのです。(古物営業法第2条第1項)
古物から除外されているものとしては、航空機や鉄道車両、20t以上の船舶、5t以上の機械(船舶や自走できる物、けん引装置があるもの以外)、コンクリート打設、溶接、アンカーボルトなどです。
Q2:「品触れ」とは何?
古物商(1号営業)または古物市場主(2号営業)への「品触れ」とは、盗品等の迅速な発見のために警察本部長等が必要があると認めたときに、古物商または古物市場主に対して被害品を通知して、その被害品の有無の確認と届出を求めることをいいます。(古物営業法第19条)
品触れにより通知された古物を所持していたり、持ち込まれたりした場合には、直ちに警察に届け出なければいけません。
「警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長は、必要があると認めるときは、古物商又は古物市場主に対して、盗品その他財産に対する罪に当たる行為によつて領得された物(盗品等)の品触れを書面により発することができる。
古物商または古物市場主は、品触れを受けた日から、その品触れに関する書面に到達の日付を記載し、6か月保存保管しておく義務があります。
品触れを受けた日にその古物を所持していたとき、又は6か月の期間内に品触れに相当する古物を受け取つたときは、その旨を直ちに警察官に届け出なければなりません。
Q3:古物商の行商とは?
行商とは、営業所以外の場所で取引する営業形態です。
たとえば、露店やデパートの催事場など、営業所以外の場所で古物営業を営むことを「行商」といいます。
 ・古物市場に出入りして取引を行う。
 ・中古自動車などの訪問販売を行う。
 ・デパート等の催事場に出店する。
上記のような営業を行う場合には、古物商の許可内容が「行商する」となっていることが必要です。
古物市場への参加も、古物商の許可を取得する時に、行商をする事を公安委員会に許可して貰っていないといけません。
また、許可内容が「行商する」になっていても、古物商の営業には制限があります。
古物商は、法人を含む一般顧客から古物を買い受ける、交換する、売却または交換の委託を受けることは、営業所または顧客の住所等でなければすることができませんので注意が必要です。(仮設店舗を除く。)
Q4:仮設店舗とは?
これまで、古物の買取場所は「営業所」もしくは「取引相手の住所・居所」に限定されておりました。
しかし、今般、法改正により、仮設店舗の所在地を管轄する警察署に営業日の3日前までに日時・場所のの二つを届出することで、「仮設店舗」でも古物を「受け取ること」が可能となりました。
つまり届出ひとつにて、都道府県の枠を超えて、古物の買受けが可能となったのです。
ところで、仮設店舗とは営業所以外の場所で、あくまで仮の店舗です。
あくまで仮店舗であるので、簡単に移動ができる必要があります。
つまり、継続的に使える営業店舗や、取り壊し予定のビル一室などは仮設店舗とは認められないと思われます。
イメージとしては、やはり、お祭りなどでよく見る露店などに近いものでしょう。
Q5:ホームページを利用した取引とは?
ホームページを利用した取引とは、古物営業法において「取り扱う古物に関する事項を電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によつて直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。以下同じ)により公衆の閲覧に供し、その取引の申込みを国家公安委員会規則で定める通信手段により受ける方法」とされています。
表現は難解ですが、要するにインターネットを利用して古物に関する情報を掲載し、取引に電子メールや電話など取引相手と対面せずに取引できる通信手段を利用することをいいます。
古物商がホームページを利用した取引を行う場合は、許可申請時にホームページを利用した取引を行う旨と、そのURLを提出する必要があります。
既に古物商の許可を受けていて、新たにホームページを利用した取引を行う場合には、変更届出書を提出します。
具体的には、インターネット上において、
 ・中古品を買い取って売る
 ・仕入れた中古品を手直しして売る
 ・仕入れた中古品の使えそうな部品だけ売る
 ・商品を預かって、売れたら手数料を貰う(委託販売)
 ・ 仕入れた中古品をレンタルする
 ・中古品を別の品物と交換する
に当てはまる場合は、古物商許可が必要と言えます。ただし、
 ・自分で使用する為に買ったものを売る
 ・無償で貰ったものを売る
 ・海外から直接買ってきたものを売る(中古品の仕入れ先が海外のみであること)
 ・自分が売った相手から、その商品を買い戻す
以上であれば、ヤフオクやフリマで売買できます。
なお、インターネットでの取引であっても営業所は必ず必要です。
営業所には取引の流れを把握できる実態が必要であり、バーチャルオフィスを営業所として申請しても、許可取得は、ほぼ不可能です。
Q6:知人に海外から買ってきてもらった雑貨を売るが?
自身が海外で買い付けてきた雑貨等を、日本国内で売却するだけであれば、古物商の許可は必要ないと思われます。
ただし、自分ではない他の人が海外で買い付けてきた雑貨等を日本で買取る場合は、盗品等が混入する可能性がありますので、古物商の許可が必要になります。
Q7:雑誌の付録をオークションに出品した?
付録付きの雑誌の付録にプレミアが付いて、かなりの高値で取引されることがあります。
付録の「せどり」で稼いでいる人もいます。
雑誌の付録の転売を禁止する法律はなく、雑誌の付録をオークションに出品することは、雑誌の出版社やメーカーが禁止していなければ、原則として問題ありません。
たとえば、
  ・本屋で新品の付録付き雑誌を購入してヤフオクに出品する
  ・自分で使用するためメルカリで付録付き雑誌を購入したが、自分に合わなかったためヤフオクに出品する
  ・友人から付録付き雑誌をタダでもらったが、不要なためモバオクに出品する
対して、古物商に該当する行為「中古品の雑誌の付録を転売目的で仕入れる」場合、古物商許可が必要になります。
たとえば、
  ・付録を転売するためブックオフで中古の付録付き雑誌を仕入れて付録だけヤフオクに出品する
  ・転売するため付録付き雑誌をメルカリで仕入れてそのままヤフオクに出品する
これらは、すべて中古品の付録を転売目的で仕入れているため、古物商許可が必要です。
一度に大量の付録付き雑誌を仕入れていたり、継続的に付録の転売していると、業とした転売目的と判断されやすくなります。
Q8:金属くず営業(金属くず商・金属くず行商)とは?
「金属くず」とは、「条例が定められている都道府県」で、以下のような中古の金属をいいます。
 ・鉄、アルミ、ステンレス、 銅のスクラップ
 ・銅線、ピカ線、エナメル線、雑電線 等
 ・真鍮、砲金、銅合金、 鉛、亜鉛、錫、ハンダ
 ・エアコンの配管
 ・ラジエーター、コンプレッサー
 ・赤釜給湯器
 ・アルミのサッシ、ホイール
 ・自動車触媒 など
そして「条例が定められている都道府県」で、これらを本来の目的以外で加工などして売買する場合に、「金属くず商」の許可「金属くず行商」の届出が必要になります。
例えば、金属をスクラップにして販売する・買い取った自転車等の金属部分を金属くずとして販売する等です。
  • 金属くず商とは(許可制)
    「条例が定められている都道府県」内に営業所を設けて金属くずを売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換することです。「営業所の所在地」を管轄する警察署へ申請します。
    法人名・個人名のどちらでも申請が可能です
    例)営業所があり、お客様にその営業所に金属くずを持ち込んでもらって、売買又は交換する場合は、「金属くず商」に該当します。
    ※あくまで営業所にて売買することであり、金属くずを「買い付け」に行くようなケースは後述の「金属くず行商」にあたります。
  • 金属くず行商とは(届出制)
    営業所によらないで、条例が定められている都道府県内に出向いて金属くずを売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換することです。「行商をする個人の所在地」を管轄する警察署へ届出ます。
    また、個人名でしか届出できません。
    例)直接お客様のところに行き、金属くずを売買する場合は、「金属くず行商」にあたります。
現在のところ、多くの都道府県では、古物商免許だけで金属くず営業ができますが、随時変更されている可能性があるため、必ず各都道府県の最新情報をご確認ください。
なお、「金属くず商許可申請」と「金属くず行商届出」はそれぞれ管轄の警察署が異なります。

申請にあたってのQA

Q9:自分の土地を古物市場主に貸すのに2号許可は必要?
古物市場主(2号営業)とは、古物市場を古物商(1号営業)に取引の場として提供し、その取引を監督し、円滑に行う事で、入場料、手数料等をもらう形態の職種です。
古物商と根本的に違うのは、場所の提供や管理を行うだけで、売買に参加しません。
そのため、自分の土地を無料で提供している場合はもちろん、単なる場所代だけで、古物商の間の売買や交換に関与しないような場合は、古物市場主の許可は必要ありません。
Q10:URLの使用権原疎明資料とは?
ホームページを利用した古物の取引をする場合には、当該ホームページのURLを届け出ますが、そのURLの使用権原を証明するために、プロバイダ等から交付されたURLの割り当てを受けた通知書等のコピーなど、以下のいずれかが必要になります。
ただし、いずれの場合も、ドメインの登録内容が、個人許可の場合は本人、法人許可の場合は、法人名、代表者名、管理者名で登録されていることが確認できる内容のものであることが必要ですので、そうでない場合はあわせてURLの登録者とされている人の使用承諾書を用意する必要があります。
  • プロバイダ等から郵送・FAXで送付された通知書等の書面
    「登録者名」、「ドメイン」、「発行元(プロバイダ名)」の3点が記載されていることが必要です。
     以上が確認できれば書面の名称は問いません。
  • 「ドメイン検索」「WHOIS検索」の結果をプリントアウトしたもの
    ドメイン取得サービスを行っているサイトでは、そのドメインがすでに登録済みか否か、登録者が誰かを検索できる「ドメイン検索」「WHOIS検索」画面があります。
    この検索機能で、届出るURLのドメインを検索し、その検索結果に「申請者の名前または名称」があれば、その画面をプリントアウトすることで疎明資料となります。(ドメイン取得の際の設定で、「WHOIS検索」の表示がドメイン取得会社になっている場合がありますが、この場合は、疎明資料として利用することはできません。)
Q11:営業所として使用する土地と建物が父と母の共有となっている?
古物商の営業所として使用する土地または建物が他人名義で共有の場合は、共有者全員による使用承諾が必要です。
ただし、それぞれ使用承諾書を用意する必要はなく、1枚の使用承諾書に連名で記載しても問題ありません。
実務的には、複数枚で用意しても問題ありません。
役員一人の法人(株式会社等)で、その役員の土地建物を法人で使用している場合に、「法人で古物商を取得する」には、役員から法人への使用承諾書が必要になります。
役員が一人の法人であっても、個人と法人は別人と考えて申請書類を準備する必要があります。
Q12:経由警察署とは?
経由警察署とは、古物商の許可申請をした(許可証の交付を受けた)警察署です。
県内に1箇所しか営業所を持たない場合には、許可申請や各種届出を提出する警察署も1箇所になりますのであまり意識しませんが、同一都道府県内に複数の営業所を設置する場合には、どこの警察署を経由警察署とするかは許可後の利便性に関わってきます。
例えば、宮城県のA市とB市及びC市に営業所を持つ会社が、B市を管轄するB警察署に古物商の許可申請を行い許可を受けた場合は、B警察署が経由警察署になります。
一部の届出を除いて、変更の届出は経由警察署に提出しなければいけません。
基本的には、許可申請書を提出した警察署は、その古物商にとって最も利便性の高い警察署を選んでいると思いますが(普通はわざわざ遠い警察署に申請しない)、同一都道府県内で複数の営業を設けて古物商の許可申請をする際は留意する必要があります。
Q13:古物商許可を持つ他社の役員を自社の役員が兼務していますが許可は所得できる?
これから古物商許可を取得したいA社と、既に古物商許可を取得しているB社がある場合、A社の役員の中に、B社の役員を兼務している者がいても、A社は古物商許可の取得が可能です。
また、法人で複数の品目を申請したいとき、会社を分社化して、各法人で品目を分けて申請することもあります。
この場合、各社間で代表や役員を兼務する者がいることもあるでしょうが、各法人で古物商許可を取得することが可能です。
Q14:インターネットオークションサイトとは?
インターネットオークションサイトは、出品者と入札者との間で、競りの方法で(オークション形式)で商品の売買を行い、アプリ事業者が、ユーザーから対価を徴収するため、「古物競りあっせん業」の届出が必要になります(古物営業法2条2項3号、10条の2)。
対して、フリーマーケットアプリ(フリマアプリ)は、価格を基本的に固定して販売されています。
フリマアプリサイトの運営には、3号営業は必要ありません。
サイトによって手数料なども違ってくるのですが、ざっくりとフリマアプリは定額販売、インターネットオークションサイトは競りの方法によって価格が決まる3号営業ということになります。
なお、ユーザーからは対価を徴収せず、バナー広告などの広告収入だけで、収益を上げるのであれば、3号営業の届出は不要です。